社会的地位(しゃかいてきちい)とは、
社会の中に確立された、人々の名誉や威信を伴う位置。
近代社会では、
職業が地位の主な規定要因と考えられている。職業は、収入や
生活水準や学歴や人間関係、日頃の生活などの情報も含む総合的な地位の指標だからである。しかし他のメンバーシップや
所属(
人種集団、
宗教、
ジェンダー、
ボランティア組織、
ファン組織、
趣味)も地位に対して影響を及ぼす。例えば、ある社会の例では、
医者は
工場労働者より高い地位を持つが、ある社会においては、白人のプロテスタントの医者が、非白人少数人種や、少数派宗教の医者よりも、より高い地位を持つことがある。
前近代社会では、地位の格差は幅広い。インドの
カースト制度や日本の江戸時代の
身分制度のように、時には社会的地位は、極めて固定的で階級や身分に基づいている。
社会学では、
社会階層構造や
社会階級構造の中に、いくつかの社会的地位が存在すると考える。
社会階級は、資本家、中間層、労働者の主に3つの地位(あるいは階級集団)からなる。
社会階層は、多次元的かつ連続的に測定することが普通である。何らかの
社会的資源を多く持つほど社会的地位が高いとされる。
社会的地位が変化することを
社会移動という。とくに親子で社会的地位(具体的には職業)が異なることを「世代間社会移動」、本人の学卒後の初職と現職などが異なることを「世代内社会移動」(
職業キャリアの変化)という。日本は一度就職すると、その職を続ける人が多く、仕事をやめて大学などに入り資格を取って別の職につく人は少ない。このため世代内社会移動は少ない社会といわれる。また転職は少ないとも言われるが、実際には中小企業勤務者は勤務先を変えることは多い。ただ勤務先が変わっても本人の仕事内容が変わらない場合は社会移動とはいわない。
社会移動が少ないか困難なことを社会の閉鎖性が高いという。閉鎖性には大学定員や奨学金など
進学機会が関連するが、実際には機会は直接測定できず、機会と結果を分けて考えることも難しい。しかし結果でなく機会の不平等が問題という主張も多い。西欧各国は貴族階級の優遇さえ残っており閉鎖性が高いとも言われる。多くの国では、教員や宗教家、医師や弁護士や公認会計士など
専門職階層は、親子で同じ職業の人が多く閉鎖性が強い。また、
管理職は国により定義が異なり、その定義を広くして、ほとんど部下がいないものまで管理職として扱えば、親が管理職でなくても現在管理職の人を多く見せることができる。データ分析上このような操作で閉鎖性を低く見せることができるので注意が必要である。またこれまでは、日本社会の閉鎖性は低いとする主張が社会学では多かったが、これは第二次大戦後の日本では、親が農民だが本人は農民でない人が多かったからである。日本に限らず、この影響を統計的に除くと、各国で閉鎖性が高いとする研究結果もあるが、統計的に様々な手法があり様々な結論を出すことができるため、議論の混乱のもとになっている。
・原純輔・盛山和夫.『社会階層』東京大学出版会.
・原純輔他編『日本の階層システム』1〜6巻 東京大学出版会.
・直井優他編『現代日本の階層構造』1〜4巻 東京大学出版会.
・安田三郎『社会移動の研究』東京大学出版会.